どんこと香信(こうしん)の違い|傘の開きで決まる等級と選び方
どんこと香信(こうしん)の違いは、傘がどこまで開いてから採ったかです。傘が7分開き(7割ほど開いた状態)になる前に採ったものが「どんこ」、それより開いてから採ったものが「香信」と呼ばれます。品種の名前ではなく、しいたけの状態の呼び名です。
どんこは丸くて肉が厚く、香信は平たくて肉が薄めになります。この記事では、見分け方の表、規格表での分かれ方、料理での使い分け、生しいたけで巻きの強いものを選ぶコツをまとめます。
結論:違いは「傘の開き」。品種でも産地でもない
| どんこ(冬菇) | 香信(こうしん) | |
|---|---|---|
| 採るタイミング | 傘が7分開きになる前 | 傘が7分開きになってから |
| 形 | 丸い・半球形(島根県) | 平たい。傘が大きく開く |
| 肉の厚さ | 厚い | 薄め〜中くらい |
| できやすい時期 | 気温の低い時期に、日数をかけて育つ | 気温が高い時期に、数日で一気に開く |
7分開きという線は、乾しいたけの表示のルール(食品表示基準。以前はJAS法の品質表示基準)で決められています(大分県椎茸農業協同組合の解説も参照)。袋に「乾しいたけ(どんこ)」「乾しいたけ(こうしん)」と書けるのは、ほかの乾しいたけの混入が重さで30%以下のものです(食品表示基準 別表第四)。
お店では、どんこのように傘のふちが内側に丸まっているものを「巻きが強い」と言うことが多いです。
どんこと香信を分けているのは、育つときの気温と、採るまでの日数です。寒い時期はゆっくり育つので、傘が開く前に厚みが増し、丸い形になります。暖かい時期は成長が早く、数日で傘が9〜10割まで開きます(島根県)。
同じほだ木(しいたけの菌を植えた原木)から、時期によってどんこも香信も出ます。また、傘の開きで決まる呼び名なので、原木か菌床かとも別の話です。
中間の「こうこ(香菇)」もある
どんこと香信の中間の開き方のものを「こうこ(香菇)」と呼びます。表示のルール(食品表示基準)には決まりがありませんが、業界では一般的に使われている分け方です。どんこより傘が大きく、香信より巻きが強くて肉が厚い、大ぶりなしいたけです(大分県椎茸農業協同組合)。
「何分開き」の線は、資料によって少し違う
検索すると「7分開き」「5〜6分開き」「6〜8割開き」と、数字がばらばらに出てきます。どれかが間違いというより、何のための線かが違います。
| 資料 | どんこ | 香信 | 何のための線か |
|---|---|---|---|
| 食品表示基準(乾しいたけの定義) | 7分開きになる前に採ったもの | 7分開きになってから採ったもの | 名前を分ける境目 |
| JA全農 乾椎茸規格表 | 5〜6分開き | 6〜7分開きから全開まで | 等級を細かく分ける |
| 島根県の解説 | 6〜8割ほど開いたとき | 9〜10割開いたもの | 育ち方の説明 |
表示ルールは「どこで名前が変わるか」の境目、規格表は「典型的などんこはどのくらいか」の目安です。数字は少しずれますが、どんこは開きが浅く肉厚、香信は開いて平たいという向きは、どの資料も同じです。
規格表では、どう分かれている?
乾しいたけ(JA全農 乾椎茸規格表)
JA全農の規格表では、品柄(銘柄の区分)・大きさ・形・色・傘の開きの組み合わせで、細かく等級が分かれています。
| 傘の開き | 区分の例 | 形・肉 |
|---|---|---|
| 5〜6分開き | どんこ(花どんこ・上どんこ・並どんこ・小どんこ) | 厚肉・丸形 |
| 6〜7分開き | こうしん(上厚など) | 厚肉・丸形 |
| 7〜8分開き | こうしん(上中・厚など) | 中肉・丸形、または厚肉・扁平 |
| 9分〜全開 | こうしん(上・並) | 中肉 |
| 全開以上 | 加工 | 割れ・変形があるもの |
見てわかるとおり、香信の中にも肉厚のものがあります。「香信=薄い」ではなく、「開いてから採ったもの」が香信です。
花どんこは、傘の表面に花が咲いたような白い亀裂が入ったどんこです。「天白冬菇(てんぱくどんこ)」とも呼ばれ、特に大切に扱われます(大分県椎茸農業協同組合)。
大きさは、どんこが3〜5cm(小どんこは3cm以下)。香信は大が7cm以上、中が4.5〜7cm、小が3〜4.5cmです。
生しいたけにも、同じ線がある
成分表でも、乾しいたけをどんこ・こうしんに分けています(文部科学省 日本食品標準成分表2010の解説)。一方、生しいたけの出荷規格にも、同じ「7分開き」の線が出てきます。
| 規格 | いちばん上の等級の条件 |
|---|---|
| JA全農 広島県本部(生しいたけ) | 「特」=7分開き以内、色・形がよい、水分が少ない など |
| 山形県の出荷規格(生しいたけ) | 「A」=7分開き以内、色・形がよい、肉が厚い、水分が少ない など |
生でも乾燥でも、傘が開ききる前に採ったものが上の等級になる。これが共通の考え方です。お店で「生どんこ」と書かれているのは、傘が開ききる前の、丸く肉厚な生しいたけを指していることが多いです。
料理での使い分け
使い分けの目安です。どちらがおいしい、という話ではありません。大分県椎茸農業協同組合も「味が違うのではなく、使う場面や適した料理が違う」としています。
| どんこ | 香信 | |
|---|---|---|
| 向く料理 | 含め煮・煮しめ・鍋など、形のまま食べる料理 | 刻んで使う料理(ちらし寿司・炊き込みご飯・炒め物・汁物の具) |
| 理由 | 肉が厚く、噛みごたえが残る | 傘が薄いので刻みやすく、ほかの具となじむ |
| 戻す時間 | 長め | 短くてすむ |
香信は傘が薄いぶん、戻す時間が短くてすみます(大分県椎茸農業協同組合)。平日の料理で手早く使いたいなら香信、主役にしたい日はどんこ、と分けると選びやすくなります。
生しいたけで「巻きの強いもの」を選ぶには
生しいたけを買うときも、見るところは同じです。
- 横から見る。傘が丸く盛り上がって、厚みがあるか
- 傘の開きを見る。開ききっていないか。ふちが丸まっているもの(お店で「巻きが強い」と言われるもの)ほど、開く前に採ったもの
- 裏返して、ひだを見る。傘が開ききっていないもの、ひだが白いものが新鮮です(農畜産業振興機構)
寒い時期は、どんこのように丸く肉厚なものが出やすくなります。暖かい時期の、傘が開いた平たいものは、薄切りにして炒め物や汁物に使うと扱いやすくなります。
原木か菌床かの見分け方は、原木しいたけと菌床しいたけの見分け方で紹介しています。
中伊豆BASEは、研修先や周辺の原木しいたけ林家さんの販売をお手伝いしています。
出典:
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