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夏菌と冬菌の原木しいたけの違い|味・食感・肉の厚さと向く料理

原木しいたけの冬菌と夏菌の違いは、まず肉の厚さと傘の開きに出ます。寒い時期に出る冬菌は、肉厚で丸みのある形になりやすく、暖かい時期に出る夏菌は、早く育って傘が開きやすい傾向があります(熊本県・島根県)。

ただし、味(うま味や香り)は、冬菌か夏菌かだけでは決まりません。 同じ条件で育てても、品種によってうま味の成分の量が大きく違うことが分かっています。台所では「冬菌か夏菌か」より、目の前のしいたけが肉厚か、開いているかで料理を選ぶと失敗しません。

原木しいたけそのもの(育て方や菌床しいたけとの違い)は、原木しいたけとはにまとめています。

ほだ木から出てきた、傘の丸い原木しいたけ 写真:研修先の林家さんのほだ場

冬菌と夏菌、食べたときの違い

冬菌・夏菌は、生産者のあいだで使われる品種(しいたけの菌の種類)の呼び名です。熊本県林業研究・研修センターの手引では、しいたけの品種を出る温度で次のように分けています。おおまかには、冬菌が低温系、夏菌が高温系にあたります。

冬菌(主に低温系)夏菌(主に高温系)
出る温度の目安5〜15℃15〜25℃
形の傾向肉厚で、傘が大きくなりやすい早く育ち、傘が開きやすい
食感厚みがあり、かみごたえが出やすい厚みは控えめで、火が早く通る
主な使われ方品質の高い干ししいたけに向くとされる一年を通した生しいたけの生産に向くとされる
炭火で丸ごと焼くと(焼き鳥屋さんの焼き)肉厚なので、中まで火が通っても汁気が残りやすく、かみごたえが出る早く焼けるぶん、焼きすぎると汁が飛んで身が縮みやすい

出典:出る温度・主な使われ方と冬菌の形は熊本県林業研究・研修センター「原木シイタケ栽培の手引」。夏菌の形は、気温の高い時期に出たしいたけについての島根県の説明から。食感と炭火で焼いたときの違いは、形の違いをもとにした中伊豆BASEの目安です。

焼き鳥屋さんのように、炭火で丸ごと焼いて塩で食べるなら、肉厚な冬菌が向いています。 厚みがあるぶん、表面に焼き色がついても中はしっとりしたまま。ひだに汁がたまるまで焼くと、かみしめたときに汁ごと香りとうまみを味わえます。夏菌も焼いておいしく食べられますが、火が早く通るので、汁が浮いたらすぐ火から下ろすのがコツです。焼き方の手順は原木しいたけの焼き方にまとめています。

あいだに「中温系(10〜20℃)」もあり、秋から春に出ます。形はふつう中くらいの大きさになるとされています(同手引)。

冬菌と夏菌の違いを、出る温度・形・食感・炭火で焼いたときの違いで比べた図 図:中伊豆BASE作成(出典:熊本県林業研究・研修センター「原木シイタケ栽培の手引」、島根県)

採れる時期の違い(まとめ)

時期は、地域とその年の気温で前後します。ここでは目安だけをまとめます。

冬菌夏菌
多く出る時期冬〜春に集中ほだ木を水に浸けて出せば、ほぼ一年中
伊豆での目安おおむね11月から10月ごろまで

出典:多く出る時期は熊本県林業研究・研修センター。伊豆での目安は、中伊豆BASEが販売をお手伝いしている林家さんの場合です。

季節ごとの呼び名(秋子・寒子・春子)や、旬の考え方はしいたけの旬で詳しく紹介しています。

食感を決めるのは「品種」と「その日の気温」

冬菌が肉厚になりやすいのは、品種の性質に加えて、寒い中でゆっくり育つことも大きいと考えられます。熊本県の手引では、しいたけは10℃なら7日、17℃なら4〜6日で育ちきるとされています。島根県も、気温が低い時期に長い日数をかけて育ったものは肉が厚く、気温が高い時期に出たものは数日で傘が90〜100%開く、と説明しています。

つまり、食感は2つの掛け算で決まります。

  1. 品種:冬菌か夏菌か、さらにその中のどの品種か
  2. 育った日の気温:同じ冬菌でも、暖かい日に出れば早く開く

種菌メーカーのカタログを見ると、「夏菌=薄い」とは限らないことも分かります。

品種(番号)出る時期・温度カタログにある特徴
240秋・春、10℃以下大形で、傘のふちの巻き込みがしっかり。厚肉
324秋・春、14℃以下中くらいの厚み。肉質が硬く、プリプリとした食感
697一年中(浸水が必要)夏に強い。真夏でも厚肉で、肉質が硬く食感がよい

出典:菌興椎茸協同組合の品種紹介ページ(品種一覧と各品種のページ)。特徴はメーカーの説明で、育て方や気温で変わります。

夏に出る品種でも厚肉のものがあり、秋・春に出る品種でも中くらいの厚みのものがあります。冬菌・夏菌はあくまで目安と考えてください。

味と香りは「冬菌のほうがおいしい」とは言えない

しいたけのうま味の主な成分は、グアニル酸(加熱すると増える成分)とグルタミン酸です。2020年の研究では、39の菌株(市販の品種33と野生株6)を同じ条件で育てて調べたところ、菌株によって次のような差がありました。

成分いちばん多い菌株と少ない菌株の差
グアニル酸(傘)約15倍
グルタミン酸(傘)約7.6倍(いちばん多かったのは野生株)
レンチニン酸(香りのもとになる成分。傘)約3倍

出典:甲山恵美ほか「シイタケに含まれる5’-GMP,遊離アミノ酸およびレンチニン酸の菌株間差」日本食生活学会誌31巻1号(2020)。この試験はおがくずの培地で育てたもので、原木しいたけの値ではありません。

同じ論文は、育て方を変えると成分も変わることにも触れています。うま味や香りは、品種と育ち方の両方で変わるということです。

一般には、原木しいたけは春のものは身が締まって凝縮したうま味、秋のものは香りが高いといわれます(JAグループ)。季節の味わいの違いとして楽しむのがよいと思います。

冬菌・夏菌別、向く料理の早見表

ここからは中伊豆BASEのおすすめです。見るのは「肉の厚さ」と「傘の開き」の2点です。

しいたけの形多いもの向く料理調理のコツ
肉厚で、傘のふちが巻いている冬菌丸ごと塩焼き、ステーキ、含め煮、天ぷら厚いので火が通りにくい。弱めの火でじっくり焼く
傘が開いて、平たい夏菌、暖かい日に出たもの薄切りで炒め物、味噌汁、パスタ、炊き込みご飯、肉詰め火が早く通る。強めの火で手早く。平らな傘は肉だねをのせやすい
夏菌でも肉厚なもの一部の夏菌冬菌と同じく、焼き物に形で判断する

しいたけの形(肉厚・開いている)ごとに向く料理をまとめた早見表 図:中伊豆BASE作成(料理は中伊豆BASEのおすすめ)

買うときは、これを聞くと選びやすい

パックの表示に、冬菌・夏菌の区別はふつう書かれていません。直売所や通販なら、次のように聞くと答えてもらいやすいです。

  • 「冬菌ですか、夏菌ですか」
  • 「焼いて食べたいので、肉厚のものはありますか」
  • 「炒め物に使うので、開いたものでもいいです」

開いたものは、肉厚のものより手ごろな値段で並ぶこともあります。料理に合わせて選べば、むだがありません。

中伊豆BASEは、研修先や周辺の原木しいたけ林家さんの販売をお手伝いしています。


出典:

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