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冷凍しいたけが美味しくなるのはどんな料理?うまみを引き出す加熱のしかた

採ったばかりの肉厚な原木しいたけ 写真:採ったばかりの原木しいたけ

しいたけは、冷凍したほうがおいしくなる料理があります。差が出やすいのは、汁物・鍋・炊き込みご飯のように、水から火にかけて10分前後で仕上げる料理です。水から加熱する試験では、冷凍したしいたけのほうがうま味成分が多くなりました。炊き込みご飯では、食べ比べで冷凍のほうが色と味で好まれました。

一方、70℃で30分加熱して成分を測った条件では、生と冷凍でうま味成分に差がありませんでした。焼き物では、丸ごと冷凍して焼いたものの評価が低めでした(くらべた生しいたけは切って焼いたもので、はっきりした差ではありません)。焼き鳥店で冷凍したしいたけの炭火焼きを食べたお客さんが、しゅんとするけれど味わい深い、と話していたこともあります。「冷凍すればいつでもおいしくなる」わけではありません。冷凍が効くかどうかは、加熱のしかたで決まります。

この記事では、なぜそうなるのかを研究をもとに説明し、料理ごとの使い分けと火の入れ方をまとめます。冷凍の手順と保存期間はしいたけは冷凍できる?生との違いと、冷凍の手順・向く料理で紹介しています。

結論:冷凍が効くのは「水から、ほどほどの時間で加熱する料理」

料理のタイプ冷凍の効果根拠
水から煮る汁物・鍋(10分前後)出やすい冷凍してから水から加熱すると、うま味に関わる成分の合計が約1.9倍(1996年)
炊き込みご飯出やすい冷凍しいたけで炊いたほうが、食べ比べで色と味が好まれた。うま味成分の量は測っていない(2006年)
切って炒める・焼く同じか、やや冷凍が上香りは冷凍のほうがはっきり好まれた試験あり。うま味成分の量は測られていない(2019年)
丸ごと焼く評価が分かれるホットプレートの試験では、丸ごと冷凍して焼いたものは評価が低め(2019年。くらべた生は切って焼いたもの。統計上はっきりした差ではない)。炭火で焼いた冷凍しいたけを、しゅんとするけれど味わい深い、と話すお客さんの声もある
沸いた湯にさっと入れる冷凍でも補いにくい急に高温にすると、うま味成分が少なくなった(1996年・2018年)

なお、成分を測るために70℃で30分加熱した条件では、生と冷凍でうま味成分(グアニル酸)に差がありませんでした(2019年)。これは料理ではなく、研究のための条件です。

覚えておくことは3つです。

  1. 凍ったまま、水や冷たいだしから火にかける
  2. 沸いた湯に放りこまない
  3. 丸ごと焼くなら、生と冷凍を食べ比べて好みで決める(研究とお客さんの声は、下の「冷凍しいたけを炭火で焼くと?」の節で紹介)

なぜ冷凍でうまみが増えるのか

うま味成分は「加熱の途中でできる」

しいたけの代表的なうま味成分は、グアニル酸です。昆布のグルタミン酸、かつお節のイノシン酸と並ぶうま味成分の一つです。

ところが、生のしいたけにはグアニル酸がほとんど入っていません。ある研究では、加熱前の生しいたけ100gあたり0.2mgでした。それが、水から火にかけて沸騰させると11.3mgに増えました(日本調理科学会誌、1996年)。

グアニル酸は、しいたけの中にあるリボ核酸(RNA。それ自体は味がない成分)を材料に、加熱の途中でできます。ここで2つの酵素(体の中で化学反応を進める物質)がはたらきます。

酵素はたらきよくはたらく温度止まる温度
つくる酵素リボ核酸からグアニル酸をつくる60〜70℃80℃以上
分解する酵素グアニル酸を味のない成分に分解する40〜60℃60℃以上

出典:林産試だより 2025年10月号(北海道立総合研究機構 林産試験場)

つまり、60〜70℃のあたりをしばらく通ると、グアニル酸がたまります。 反対に、沸いた湯に入れていきなり高温にすると、つくる酵素がはたらく時間が短くなると考えられています。1996年の研究では、水から加熱した場合とくらべて、沸騰した湯に入れた場合はうま味に関わる成分の合計が4分の1以下でした。

加熱の温度とうま味の酵素の関係。60〜70℃でつくる酵素がよくはたらき、80℃以上で止まる。水から火にかけると60〜70℃をしばらく通り、沸いた湯に入れると急に高温になる 図:中伊豆BASE作成(温度は林産試だより2025年10月号、「4分の1以下」は生のしいたけでの結果で、日本調理科学会誌1996年より)

冷凍が効く理由:細胞がこわれる

冷凍すると、細胞がこわれて、酵素と材料が出会いやすくなります。

家庭の冷凍庫でゆっくり凍らせると、しいたけの中に比較的大きな氷の結晶ができます。この結晶が組織をこわします。電子顕微鏡で見ると、冷凍して解凍したしいたけの傘には、生にはない大きなすき間ができていました。研究者は、こわれた組織から汁が出て、加熱のはじめから酵素がよくはたらくためだと考えています(日本食生活学会誌、2006年)。

甘み成分が増えた理由(うま味とは別の話)

冷凍したしいたけでは、甘み成分のブドウ糖も多くなる傾向がありました。2019年の研究者は、この理由を次のように考えています。凍ったしいたけを入れると水の温度が下がり、温まるまでの時間が長くなる。そのあいだに、糖をつくる酵素がよくはたらく。細胞がこわれているので、酵素と材料も触れやすい(菌蕈研究所、2019年)。

これは甘み成分についての説明です。うま味成分のグアニル酸では、分解する酵素がはたらく40〜60℃はできるだけ早く通すほうがよい、とされています(林産試だより 2025年10月号)。「ゆっくり温まるほどうま味が増える」という意味ではありません。

冷凍しただけでは増えない

大事なのは、凍らせた時点ではうま味成分は増えていないということです。なめこ・ぶなしめじ・えのきたけで調べた研究では、冷凍しただけでは、グアニル酸は生とほとんど変わりませんでした。冷凍したあとに加熱して、はじめて大きく増えます(日本食生活学会誌、2015年)。

「冷凍するとうまみが増える」は、正確には「冷凍すると、加熱したときにうまみ成分ができやすくなる」です。

研究で分かっていること・分かっていないこと

研究ごとの結果

研究条件結果
日本調理科学会誌(1996年・原木しいたけ)−40℃で1日冷凍→水から5分で沸騰させ、さらに5分うま味に関わる成分の合計が、冷凍しないものの約1.9倍
日本食生活学会誌(2006年)家庭用に近い−15℃で16〜24時間冷凍→みじん切りにして、10分で沸騰させ、さらに10分冷凍したほうがグアニル酸がはっきり多く、材料のリボ核酸は少なかった
菌蕈研究所研究報告(2019年・原木しいたけ)家庭用冷蔵冷凍庫で冷凍→成分を測るため、70℃の湯に入れ、砕きながら70℃のまま30分加熱グアニル酸に差はなかった

結果が分かれているように見えますが、2019年の研究者は、冷凍でグアニル酸が増えたと報告した2006年と2015年の研究について、こう説明しています。2つの研究は、常温の水から5〜10分で沸騰させる方法で、2019年の方法より高温で加熱時間も短かった。そのため、生のしいたけでは材料のリボ核酸が残ったまま加熱が終わっていた、と考えられます。実際、2006年の研究では、加熱した後も生のほうにリボ核酸が多く残っていました。

一方、2019年の方法は、つくる酵素がよくはたらく70℃付近で30分も保ちます。これなら生でも冷凍でも、リボ核酸がほぼ使い切られ、グアニル酸が最大までできます。だから差が出なかった、という説明です。

1996年の研究も、水から5分で沸騰させる短めの加熱でした。同じ説明が当てはまる可能性がありますが、これは中伊豆BASEの推測で、2019年の研究者が述べていることではありません。

ここから言えるのは、次のことです。

  • 加熱が短めのときは、生だと材料が使い切れずに終わることがある。冷凍はその差を埋めやすい
  • 70℃で30分という条件まで加熱を長くとると、生と冷凍の差はなくなった(ただし料理ではなく、成分を測るための条件)

冷凍の期間と、凍らせる時間

  • 1996年の研究では、1日冷凍しただけで効果が出ていました
  • −40℃で4か月保存しても、加熱後のグアニル酸はほとんど変わりませんでした(1996年)
  • 業務用の冷凍倉庫(−20℃)で1年冷凍しても、グアニル酸の量は変わりませんでした。ただし、甘み成分のブドウ糖は、冷凍期間が長いほど減っていきました(菌蕈研究所、2018年)

家庭の冷凍庫は開け閉めで温度が変わるので、保存の目安は1か月です(水戸市「食材の上手な保存方法」。くわしくはしいたけの冷凍のコラム)。うま味のためなら、長く寝かせる必要はありません。一晩凍らせれば、次の日の汁物から使えます。

うま味以外の変化

冷凍で変わるのは、グアニル酸だけではありません。原木しいたけで生と冷凍をくらべた2019年の研究では、次のような違いがありました。

成分生と冷凍のどちらが多かったか
グアニル酸(うま味)差なし(成分を測るため70℃で30分加熱した条件)
グルタミン酸(うま味)生のほうが多い傾向。一部ではっきりした差
ブドウ糖(甘み)冷凍のほうが多い傾向。一部ではっきりした差
アラニン(甘みのあるアミノ酸)冷凍のほうが多い

意外なのは、もう一つのうま味成分、グルタミン酸は生のほうが多い傾向だったことです。冷凍すれば何もかも増えるわけではありません。

香りについては、冷凍したほうが強く感じるという結果が、いくつもの食べ比べで出ています。研究者は、しいたけ特有の香り成分(レンチオニン)も酵素のはたらきでできるため、細胞がこわれた冷凍しいたけで多くなるのではないか、と考えています。ただし、香り成分の量はまだ測られていません(菌蕈研究所、2019年)。

まだ分かっていないこと

調べたかぎり、次のことを確かめた研究は見つけられませんでした。

  • 炒め物や焼き物で、生と冷凍のグアニル酸の量をくらべたもの(食べ比べの評価はある)
  • 急速冷凍と、家庭の冷凍庫でゆっくり凍らせた場合のくらべ
  • 肉の厚さや品種で、冷凍の効果がどう変わるか
  • 原木しいたけと菌床しいたけで、冷凍の効果が違うかどうか

冷凍が向く料理・生が向く料理

料理向いているもの理由
みそ汁・すまし汁・スープ冷凍水から加熱するので、冷凍の効果が出やすい。切って冷凍してゆでたものは、香りとゆで汁の味で生よりはっきり評価が高かった(2019年)
鍋物冷凍冷たい水やだしから火にかける料理。汁物と同じ考え方
炊き込みご飯冷凍冷凍しいたけで炊いたほうが、食べ比べで色と味がはっきり好まれた(2006年)
炒め物・ソテー(切って使う)冷凍か生、好みで一晩冷凍した切り身を焼いた試験では、香りが冷凍ではっきり好まれた。別の試験では差がなかった(2019年)
丸ごとの蒸し料理どちらでもほとんど差がなかった(2019年)
焼きしいたけ・ステーキ(丸ごと)生か冷凍、好みでホットプレートの試験では、丸ごと冷凍して焼いたものは全体の評価が低め(2019年。くらべた生は切って焼いたもの。統計上はっきりした差ではない)。炭火で焼いた冷凍しいたけを、しゅんとするけれど味わい深い、と話すお客さんの声もある
香りや味をおだやかにしたい料理生冷凍は香りや味がやや強く出る。生は「クセがなく食べやすい」という声も(2019年)
わかめとしいたけのスープ
汁物(写真は韓国のわかめとしいたけのスープ)
写真:chomjong/CC BY 2.0/Wikimedia Commons(縮小・切り抜きして掲載)
しいたけの炊き込みご飯
炊き込みご飯
写真:pelican from Tokyo, Japan/CC BY-SA 2.0/Wikimedia Commons(縮小・切り抜きして掲載。切り抜いた写真も CC BY-SA 2.0)
にんにくで炒めたしいたけ
炒め物(にんにくで炒めたしいたけ)
写真:DocteurCosmos/CC BY 3.0/Wikimedia Commons(縮小・切り抜きして掲載)
ひつじのはねさんで焼く前の、十字の切り込みを入れた生しいたけの串
焼きしいたけ(ひつじのはねさん。写真は焼く前の生しいたけの串)

煮しめや含め煮のように、長く煮る料理で生と冷凍をくらべた研究は見つけられませんでした。

研究者自身も、生と冷凍の違いは「個人の嗜好によって良し悪しが分かれるもの」としています。冷凍が上、生が下という話ではありません。料理によって得意なほうを使い分ける、と考えると迷いません。

冷凍しいたけのおいしさを引き出す加熱のしかた

汁物・鍋:凍ったまま、水から

  1. 鍋に水(または水出しのだし)を入れる
  2. 凍ったままのしいたけを入れてから火をつける
  3. 中火で温める。鍋底から小さな泡が立ちはじめたら弱火にして、10分ほどその状態を保つ
  4. 最後にしっかり沸騰させて、ほかの具を入れ、味をととのえる

3の手順は、北海道の林産試験場の研究者が、ふだんの調理でできる目安として紹介しているやり方です(林産試だより 2025年10月号)。温度計がなくても、つくる酵素がはたらく温度帯を長めに通せます。

昆布と一緒に水から入れるのもおすすめです。 グアニル酸は、昆布に多いグルタミン酸と合わさると、うま味を強く感じるようになります(林産試だより 2018年9月号)。冷凍しいたけは生よりグルタミン酸が少なめになる傾向があるので、昆布でそこを補えます。

炊き込みご飯:凍ったまま米の上に

炊飯器は、冷たい水から時間をかけて温度が上がります。水から加熱する汁物と同じ考え方で使えます(炊き込みご飯でうま味成分を測った研究ではありません)。

  1. 米を研いで、水と調味料を入れる
  2. 凍ったままの薄切りのしいたけを、米の上にのせる
  3. 解凍せずに、そのまま炊く

2006年の研究でも、凍ったしいたけを米と一緒に炊いて食べ比べています。

炒め物・ソテー:研究での焼き方

炒め物でうま味成分の量を測った研究は見つけられませんでした。ただ、2019年の食べ比べでは、次の焼き方で、冷凍した切り身のほうが香りではっきり好まれました。

  • ホットプレートを200℃に温め、油をひく
  • 解凍せずに、切ったしいたけのひだ側を上にして並べる
  • ふたをして、180℃で3〜4分焼く

ここからは研究で確かめたものではなく、家庭のフライパンで近づけるための目安です。

  • 中火で、ふたをして数分焼く。ふたをすると、しいたけから出た水分で蒸し焼きのようになります
  • そのあと、ふたを外して水分をとばす
  • 凍ったまま入れると、溶けた水分で表面がしばらく焼けにくくなります。焼き色をつけたいときは、ふたを外してから付けてください

電子レンジ:弱めの出力でゆっくり

生のしいたけを電子レンジで加熱した研究では、100Wで5分かけたほうが、500Wで1分よりうま味に関わる成分がずっと多くできました(1996年)。研究者は、強い出力で一気に温めると、短い時間で酵素がはたらかなくなるためと考えています。

冷凍しいたけを電子レンジにかけた研究は、結果が分かれています。2018年の研究では、500Wで1分かけたもののほうが、100Wで5分よりグアニル酸が多い結果になりました。ただし、これは解凍の方法をくらべた試験で、この2つの差は統計上はっきりしたものではありません。研究者自身も、1996年の結果と合わないとしています。電子レンジについては、まだ決まった答えがありません。

迷ったら、汁物や炊き込みご飯など、水から加熱する料理に冷凍しいたけを回すのが確実です。

避けたいこと

やり方避けたい理由
沸いた湯に入れる急な高温は避けたい。生のしいたけでは、水から加熱した場合よりうま味に関わる成分がずっと少なかった(1996年)。凍ったしいたけを熱湯で3分加熱したものは、比べた5つの方法の中でグアニル酸がいちばん少なかった(2018年)
冷蔵庫で解凍してから加熱する凍ったまま水から加熱したほうが、うま味に関わる成分が約1.3倍多かった(1996年)
解凍して水を捨てる解凍すると、こわれた組織から汁が出る(2006年)。うま味の材料ごと捨てることになる

冷凍しいたけを炭火で焼くと?お客さんの声と研究の結果

ひつじのはねさんで焼く前の、生の原木しいたけの串。傘に十字の切り込みを入れ、塩をふってある 写真:ひつじのはねさん 焼く前の生しいたけの串(塩焼き用)

修善寺駅の近くにある焼き鳥店「ひつじのはね」さんは、中伊豆BASEが販売をお手伝いしている原木しいたけを使ってくださっているお店です。ふだんは、傘に十字の切り込みを入れた塩焼きとして出しています。写真は、焼く前の生しいたけの串です。

中伊豆BASEの者がこのお店で食事をしていたとき、隣の席のお客さんが、丸ごと冷凍したしいたけの炭火焼きを食べて、感動した様子で大きな声で話していました。冷凍すると、しゅんとする。でも、味わい深い。 という感想です。

「しゅんとする」は、焼くと身がしぼんで、やわらかくなることだと受け取りました。冷凍すると、しいたけの組織がこわれることが研究で確かめられています(2006年。電子顕微鏡で確認)。食感が変わるのは、この記事の「冷凍の弱点」で書いたとおりです。一方で「味わい深い」は、冷凍のほうが香りや味を強く感じたという研究の声(2019年)と重なります。お客さん1人の感想で、何かを確かめたものではありません。

この記事ではここまで、「丸ごと冷凍して焼くと評価が低めだった」という研究を紹介してきました。お客さんの声と食い違って見えるので、分かっていることを並べます。どちらが正しいかを決めるものではありません。

研究とお店で、条件が違う

研究(菌蕈研究所、2019年)お店(お客さんの声)
熱源ホットプレート。200℃に温めて油をひき、ふたをして180℃で3〜4分炭火
しいたけ原木しいたけ。冷凍は4日間で、解凍せずに焼いた。くらべた生しいたけは、軸を取って切ったもの原木しいたけ
冷凍の形丸ごと冷凍したもの、切ってから冷凍したものの2通り丸ごと冷凍したもの
評価のしかた研究所の職員12人が食べて順位をつけた隣の席のお客さん1人の感想
結果切って冷凍したものは、生と大きな差なし。丸ごと冷凍したものは全体の評価が低め。ただし、統計上はっきりした差ではない。丸ごとの生と丸ごとの冷凍をくらべた結果はないしゅんとするけれど、味わい深い

お店のしいたけは、丸ごと冷凍したものです。凍ったまま焼いたのか、何分焼いたのかは分かっていません。研究で評価が低めだったのも「丸ごと冷凍して焼いたもの」なので、冷凍の形は同じです。違うのは、熱源(ホットプレートか炭火か)と、評価した人です。

研究からも言えること

  • 2019年の試験は、丸ごと冷凍して焼いたものが「はっきり劣る」とまでは示していません。12人の食べ比べで、評価が低めに出たという結果です
  • 同じ研究の別の焼き比べ(切ってから一晩冷凍したもの)では、香り・味・食感・おいしさのすべてで冷凍のほうが好まれる傾向があり、香りでははっきりした差が出ました
  • 冷凍したほうが香りや味を強く感じる、という声も複数ありました。研究者は、この違いを「個人の嗜好によって良し悪しが分かれるもの」としています

研究の結果は「冷凍して焼くとおいしくない」ではなく、「焼き物では生と冷凍の差は小さく、好みが分かれる」と読むのが近いと考えています。お客さんの声も、それと矛盾しません。食感は落ちても、味の深さを好む人がいる、ということです。

炭火についての研究

炭火で、生と冷凍のしいたけを焼きくらべた研究は見つけられませんでした。炭火とホットプレートで、しいたけの焼き上がりをくらべた研究も見つけられませんでした。

炭火については、北海道の林産試験場の資料が、木炭は燃えるときに遠赤外線を出すといわれていること、遠赤外線が食品に当たると表面が熱くなると同時に内部にも熱が伝わることを紹介しています(林産試だより 1994年2月号)。ただ、これは炭火の一般的な説明です。冷凍しいたけの焼き上がりがどう変わるかを確かめたものではありません。

研究がない以上、家庭で確かめるのがいちばんです。丸ごと焼くなら、生と冷凍を同じ焼き方で並べて食べくらべてみてください。

冷凍の弱点と、原木しいたけを冷凍するときのこと

弱点もある

冷凍は、いいことばかりではありません。

  • 解凍すると水が出る。 組織がこわれているので、凍ったまま使わないと汁が出て、べちゃっとしやすくなります
  • 丸ごと冷凍して焼くと、評価が低めだった試験がある。 ホットプレートで焼いた試験では、生や切って冷凍したものより全体の評価が低めでした(2019年。統計上はっきりした差ではない)。炭火では違う声もあります(上の節を参照)
  • 食感が変わることがある。 しいたけでは、食感の差ははっきりしませんでした(2019年)。ただ、ぶなしめじのように冷凍で柔らかくなり、苦味が増して評価が下がったきのこもあります(2015年)
  • 長く置くと甘みの成分が減る。 冷凍期間が長いほど、ブドウ糖が減っていきました(2018年)

原木しいたけを冷凍するとき

ここで紹介した研究のうち3本(1996年・2018年・2019年)は、原木しいたけを使っています。原木しいたけでも、冷凍の効果と弱点は同じように当てはまります。

2018年の研究では、冷凍する前のしいたけの水分が仕上がりを左右しました。雨の多い条件で育った水分の多いしいたけは、冷凍しても味の評価が高めでした。乾いた天気で育ったもの、冷凍前に水気を抜いたものは、食感の評価が低くなりました。届いてしなびる前に冷凍に回すのがいちばんです。冷蔵と冷凍の分け方は生しいたけの保存方法と日持ちにまとめています。

なお、肉の厚さで冷凍の効果が変わるかどうかを調べた研究は見つけられませんでした。原木しいたけの育ち方の違いは原木しいたけとはで紹介しています。

数日で食べきれないときは、焼く分を生で残し、残りは切って冷凍して、汁物と炊き込みご飯に回すのが無難です。焼き物にも冷凍を試してみて、生とくらべてみるのもおすすめです。

中伊豆BASEでは、研修先や周辺の原木しいたけ林家さんの販売をお手伝いしています。


出典:

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